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こちらの美しい貝細工は、清の時代に西洋との貿易を請け負っていた広東省の広州十三行と呼ばれる商人集団が、東インド会社からの依頼を受け製作した白蝶貝(マザーオブパール)のカジノチップです。骨董品ではありますが、とても好きなため、茶枕として見立てることで、日々の暮らしの中で愛用しています。

当時、西洋でカードゲームを行う際のチップとして使用されていたもの。時代が進むにつれて、アルファベットや西洋風の人物が刻まれるようになっていったようですが、花鳥文や唐草文、中華様式の建物や唐子などの、中国ならではの図案のものと出会えると、やっぱり嬉しくなります。元来輸出用なので、デッドストックとして残存するものには限りがあるのか、なかなか出会うことができず、見つかるとつい手に入れたくなる美しい工芸品です。古くより、玉石や象牙などへの確かな彫りの技術が受け継がれてきた中国ならではですね。

この夏の販売では、開運・成功・繁栄を表す「花開富貴」の模様を形違いでいくつか入手することができました。山茶花の花が刻まれています。それほど緻密な彫りではなく、素朴な絵柄で、ほのぼのとした可愛らしさがありますね。手仕事に要する時間によってお値段は変わりますので、小さくて彫りのシンプルな今回のお品は、昨年の大きく細やかな紋様の茶枕よりも、手ごろなお値段でのご紹介です。

広州にある『広州十三行博物館』は、入館料のかからない小さな小さな博物館。外国人観光客よりも現地の子連れの方で賑わっている印象でした。当時、唯一の貿易港として栄えた広州の歴史をざっと学ぶことができるので、お茶好き・中国文化好きには興味深く、楽しむことができましたよ。展示されている美術工芸品は、陶磁器や螺鈿漆器が多く、こちらのようなカジノチップありませんでしたが、トランプ(キングは西洋風なのに、クイーンが中国美人なお顔!)を収めた黒漆塗りのカードケースがあり、胸が高鳴りました。当時の貴族階級の人々は、中国茶をすすりチップをカチャカチャと鳴らしながら、カードゲームに興じていたのでしょうね。
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